W EC AI WorksECの仕事を、AIで減らす。

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AIエージェントへの指示は、
3つ伝えればいい。

そして最終的には「いい感じにしといて」だけで仕事ができるAIを目指す

AIエージェントに仕事を指示するとき、何を伝えればいいのか。

最近、僕はこの3つが大事だと考えています。

  1. 問題を伝える — 今、何に困っているのか
  2. 目的を伝える — なぜ、その問題を解決したいのか
  3. ゴールを伝える — 最終的にどうなってほしいのか

この3つを伝えれば、AIエージェントは自分で考えて仕事を進めてくれる。

ただ、本当にこれだけで十分なのか。

AIエージェントに仕事を任せるために必要な情報を整理すると、次の7つに分けられます。

AIエージェントへの指示に必要な7項目

項目内容
① 問題何に困っているのか
② 目的なぜ解決したいのか
③ ゴールどうなれば成功なのか
④ 前提・背景現状、過去の経緯、関連情報
⑤ 制約・権限やってはいけないこと、どこまで任せるか
⑥ 判断基準迷ったとき何を優先するか
⑦ 完了条件・検証何を確認すれば仕事が終わったと判断できるか

確かに、どれも必要です。

ただし、毎回この7項目を人間が考えて指示するのは大変です。

それでは、AIエージェントを使うために、人間が大量の指示書を書くことになってしまう。

僕が目指しているのは、そういう使い方ではありません。

実際に僕が出した指示

最近、自社のAIエージェント運用について、担当AIにこんな指示を出しました。

現場のスタッフがFableが一番良いと思い込んでいます。

僕が「Opusでも十分だよ。僕の仕事はほとんどOpusで回っている」と言っても、「あなたはエンジニアだから、難しいことをAIに言われても理解できるし、指示もできる。でも私たちは非エンジニアだから、難しいことを言われても理解できない。その点、Fableなら理解できるし、仕事もスムーズだから」と言っています。

僕はそんなことはないと思っています。AIの仕組みがうまく機能していないのではないでしょうか。

スタッフの思い込みを解決して、Opusでも仕事が回るようにし、トークン消費を抑えられる仕組みに作り変えたい。

現状の仕組みを調べて、改善案を出してください。

特別に工夫して書いたつもりはありません。

普段どおり、状況を説明して、僕の考えと、どうしたいかを伝えただけです。

この指示を、先ほどの7項目に分解してみました。

僕の指示には何が含まれていたのか

項目判定内容
① 問題○現場が特定のAIモデルに依存している。仕組みが機能していない疑いがある
② 目的○スタッフのモデルに対する思い込みを解消し、トークン消費を抑えたい
③ ゴール○Opusでも現場の仕事がスムーズに回る仕組みに改善する
④ 前提・背景○僕自身はOpusで仕事をしている。現場には非エンジニアが多く、Fableの方が使いやすいと感じている
⑤ 制約・権限×何を変更してよいか、どこまで任せるかは明記していない
⑥ 判断基準△コスト削減を重視しているが、品質や使いやすさとの比較基準は明記していない
⑦ 完了条件・検証×どうなれば改善成功なのか、検証方法は明記していない

7項目のうち、4項目が含まれ、1項目は一部含まれ、2項目が含まれていませんでした。

ただし、ここで重要なことがあります。

含まれていないからといって、AIに伝わっていないわけではありません。

そもそも、うちでは残りの4項目をハーネスが補うように設計しているからです。

足りない4項目は、ハーネスが補う

うちでは、AIエージェントに毎回細かな指示を出さなくても仕事ができるよう、ハーネスを構築しています。

ハーネスとは、AIが仕事をするための環境や仕組みのことです。

会社のルール、業務マニュアル、過去の経緯、判断基準、権限、検証方法などを、AIが必要に応じて参照できるようにしています。

例えば、今回の指示で明記しなかった⑤制約・権限。

現状調査を依頼された段階では、既存の設定を勝手に変更しない。変更が必要なら影響範囲を調べる。

こうしたことは、仕事を頼むたびに伝える話ではありません。

⑦完了条件・検証も同じです。

今回なら、Opusに変更して実際に仕事ができるのか、品質や分かりやすさは落ちないのか、どの程度トークン消費が減るのか。

そうした検証方法も、AI自身が考えられるはずです。

そして、単にOpusへ切り替えるだけでは解決になりません。

スタッフがFableを使いやすいと感じている原因が、モデルそのものの違いなのか、AI担当者の設定なのか、マニュアルやコンテキストの不足なのか。

そこを調査して、原因に応じた改善案を出してほしいのです。

もちろん、期待している設計どおりに、すべての場面で機能しているかについては、継続して確認する必要があります。

設定が存在していても、AIが読み込んでいなかったり、仕事を終えていないのに完了と報告したりする可能性はあります。

だからこそ、うちでは権限管理や監査、稼働確認の仕組みも整備しています。

大事なのは、人間の指示に7項目すべてが書かれていることではなく、AIが仕事を進めるうえで7項目すべてを扱える状態になっていることです。

人間が伝える3つ、ハーネスが補う4つ 人間が伝えること ① 問題 ② 目的 ③ ゴール AIとハーネスが補うこと ④ 前提・背景 ⑤ 制約・権限 ⑥ 判断基準 ⑦ 完了条件・検証 AIが7項目すべてを扱える状態
人間の指示に7項目すべてが書かれている必要はありません。AIが仕事を進めるうえで、7項目すべてを扱える状態になっていることが大事です。

指示が上手な人だけがAIを使いこなせるのか?

AIの活用については、よく「プロンプトが重要」と言われます。

確かに、適切な指示を出せる人の方が、AIから良い結果を得やすいでしょう。

でも、AIエージェントについては、少し違う考え方が必要だと思っています。

例えば、優秀な社員に仕事を頼むとき。

「今こういう問題があって、こうしたいから、解決してほしい」

これだけで仕事が進むことがあります。

必要な資料を調べ、過去の経緯を確認し、方法を考え、実行し、結果を報告してくれる。

一方で、まだ仕事に慣れていない社員には、細かな手順まで指示する必要があります。

AIエージェントも似ているのではないでしょうか。

今回の現場スタッフの話も、ここにつながります。

スタッフは「自分たちは非エンジニアだから、Fableでなければ難しい」と言っています。

でも、もし原因がAIの説明方法や業務マニュアル、ハーネスにあるのなら、モデルを高性能なものに固定しなくても改善できる可能性があります。

例えば、AIが専門用語を使わずに説明する。過去の業務記録を参照する。スタッフの理解度に合わせて報告する。

これらは、モデルの選択だけでなく、AIが仕事をする環境の問題でもあります。

もちろん、実際にFableの方が適している業務もあるかもしれません。

そこは思い込みで判断せず、仕事の成功率や使いやすさ、トークン消費量を比較する必要があります。

AIを使う人間の能力差を、すべて高性能モデルで補う必要があるのか。ハーネスの改善で補える部分はないのか。

今回、僕が調べたいのはそこなのです。

最終的には、3項目すら伝えなくていいAIを目指す

ここまで説明した「問題・目的・ゴール」の3つを伝える方法も、最終形ではありません。

AIエージェントを使いこなすうえで、次に目指すべきは、この3つすら毎回伝える必要のない状態です。

実際、僕の会社では、これまでの仕事の経緯や僕自身の考え方、判断基準などをAIに蓄積させてきました。

その結果、かなり曖昧な指示でも、AIが僕の意図をくみ取り、仕事を進められる状態になってきています。

つまり、これは遠い未来の話ではありません。

AIに問題・目的・ゴールを伝える段階から、AI自身がそれらを理解し、判断する段階へ。

これからAIエージェントを活用する人にも、ぜひここを目指してほしいと思っています。

例えば、僕が何かの資料を見て、

「これ、いい感じにしといて」

とだけ言ったとします。

普通なら、何をどうすればいいのか分からない指示です。

でも、長年一緒に仕事をしてきた優秀な社員なら、ある程度察してくれることがあります。

「ああ、この資料なら、社長はきっとこうしたいんだろうな」

「前にも似た仕事があったから、今回もこの方向だろう」

「この数字を気にしていたから、ここを改善したいんだろう」

こうして、過去の経緯や相手の考え方から、言葉にされていない意図をくみ取ってくれる。

AIエージェントにも、これを実現させるのが目標です。

そのためには、単に会話履歴を大量に保存するだけでは足りません。

僕が何を重視しているのか、過去にどんな判断をして、その結果どうなったのか。

仕事の背景、判断の理由、成功と失敗の記録まで、AIが必要なときに参照できるようにする。

そして、仕事をするたびに、その結果を記録し、次の判断に生かしていく。

こうしてAIの理解を深め、ハーネスを育てていきます。

目指す進化は明確です。

第1段階:7項目を伝える

人間が問題、目的、ゴールだけでなく、前提、制約、判断基準、検証方法まで具体的に指示する。

第2段階:3項目を伝える

人間は問題・目的・ゴールだけを伝え、残りの4項目はAIとハーネスが補う。

第3段階:曖昧な指示でも仕事ができる

「いい感じにしといて」でも、AIが過去の経緯や人間の考え方から意図を読み取り、問題・目的・ゴールを自分で設定して仕事を進める。

第4段階:指示がなくても仕事を始める

AIが自分で現状を確認し、問題を発見し、必要な仕事を判断して実行する。

最終的に目指すのは第4段階です。

指示を減らしても、品質を落とさない 第1段階 7項目を伝える 第2段階 3項目を伝える 第3段階 曖昧な指示でも仕事ができる 第4段階(目指すところ) 指示がなくても仕事を始める
人間の指示は、7項目から3項目へ、3項目から曖昧な一言へ、そして指示そのものを不要にしていきます。

もちろん、AIが何でも勝手にやってよいという意味ではありません。

日常的な業務や、失敗しても元に戻せる作業は自律的に進める。

重要な判断や大きなリスクがある仕事は、あらかじめ設定した権限に従って扱う。

この区別もハーネスの役割です。

人間が毎回確認しなくても仕事が回り、必要な場合だけ適切に判断を求める。

さらに、その確認自体も可能な限り減らしていく。

AIエージェントを育てるというのは、指示を減らしても仕事の品質が落ちない状態を作ることです。

そして最終的には、人間の指示を待つ存在から、自分で仕事を見つけて動く存在へ進化させていきます。

ただし、人間の考えを正解にしてはいけない

今回の実例で、もう一つ重要なことがあります。

僕は「Opusでも十分なはずだ」と考えています。

でも、それはあくまで僕の仮説です。

実際には、Fableの方が非エンジニアにとって分かりやすい可能性もあります。

Opusに変更すると、やり取りの回数が増えて、かえってトークン消費が増えるかもしれません。

だから、AIには僕の考えを正しいものとして扱ってほしくありません。

問題を解決するために調査し、僕の考えが間違っていれば、間違っていると指摘してほしい。

ここも重要だと思っています。

人間の意図を理解することと、人間の意見を無条件に肯定することは違います。

AIが僕の考えを何でも肯定してしまっては、仕事を任せる意味が薄れてしまいます。

まとめ:目指すのは、指示が上手になることではない

AIエージェントへの指示には、本来7つの要素が必要です。

でも、人間が毎回7項目を考えて入力する必要はありません。

今、うちでは次のような形を基本にしています。

人間が伝えること

  • 問題
  • 目的
  • ゴール

AIとハーネスが補うこと

  • 前提・背景
  • 制約・権限
  • 判断基準
  • 完了条件・検証

そして、これは通過点です。

次は、人間の曖昧な指示からでも、AIが意図を読み取って仕事ができるようにする。

最終的には、人間が指示しなくても、AIが問題を発見し、仕事を進め、結果を検証する状態を目指します。

僕がAIエージェントを使って実現したいのは、単なる作業の自動化ではありません。

人間が細かな仕事の進め方を考えなくても、AIが自分で考え、実行し、検証して、仕事を完結できる状態です。

AIへの指示を7項目から3項目へ。そして3項目から、曖昧な一言へ。さらには、指示そのものを不要にしていく。

そのために、AIに仕事の経験を蓄積させ、僕自身の考え方を理解させ、ハーネスを整備しています。

AIを使いこなすというのは、上手な指示を書く技術を磨くことだけではなく、細かな指示をしなくても仕事を任せられるAIを育てることなのだと思います。

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