W EC AI WorksECの仕事を、AIで減らす。

カリキュラム

AIを「触る」から、「会社に配属する」まで。

このサイトが扱っているのは、AIを人減らしのためではなく、同じ人数のまま、できる仕事を増やすために使う道のりです。

そのゴールから逆算すると、学ぶべきことは「便利なプロンプト」や「話題のツール」ではありません。自社の業務をAIに任せられる状態を、一段ずつ作っていくことです。

ここでは、その道のりを6つの段階に分けています。これは筆者が自社のECショップで実際に歩いてきた順序であり、机上のカリキュラムではありません。

段階は「レベル」ではなく「現在地」です

はじめにお伝えしたいことが3つあります。

1. どの段階からでも始められます。

第0段階は入門者向けに見えますが、恥ずかしい場所ではありません。多くの会社はここから始めますし、先の段階にいる人も、抜けている部分を学びに戻ってきます。

2. 各段階には「卒業条件」があります。

「動画を見た」「話を聞いた」では次に進みません。自社の実務で使えた、という結果だけを卒業条件にしています。逆に言えば、条件を満たせばあなたの会社には実際に動く仕組みが一つ残ります。

3. 後半は、プログラミングではなく経営の話になります。

第3段階以降は「作る」よりも「任せる・育てる・統制する」が中心です。ここが一般的なAI講座との一番の違いであり、この6段階すべてを扱っている理由です。

AIを会社に配属するまでの6段階

道のり ─ 左から右へ。どの段階からでも始められます。

技術 第0〜第2段階 マネジメント 第3〜第4段階 経営 第5段階
  1. 0AIと一緒に仕事をする第0段階
  2. 1一つの業務を自動化する第1段階
  3. 2データを貯めて使う第2段階
  4. 3AI担当者を作る第3段階
  5. 4AI担当者を育てる第4段階
  6. 5AIを組織化する第5段階
技術 第0〜第2段階 0 1 2 業務ファイルを 1つ処理できる 定型業務を自動で 失敗に気づける データが継続して 蓄積される マネジメント 第3〜第4段階 経営 第5段階 3 4 5 AI担当者を 1体配属する 人間の確認時間が 短くなる 複数のAIが分担 例外対応と承認
各段階の卒業条件を満たすと、会社には実際に動く仕組みが一つずつ残る。
第0段階

AIと一緒に仕事をする

こんな方の段階です

ChatGPTやClaudeは使っている。でも「業務が変わった」実感はまだない。

学ぶこと

  • Claude/ChatGPT(チャット)とClaude Codeの使い分け
  • 作業環境とフォルダの作り方
  • ターミナルの基本
  • AIへの業務指示の出し方
  • ファイルの読み書き
  • Gitとバックアップの初歩
  • 認証情報の扱い(最初に身につけるべき安全習慣)

演習課題

自社のCSVやExcelを読み込み、必要な形に加工するプログラムを作る。

✓
卒業条件

自分のPCでClaude Codeを使い、実際の業務ファイルを1つ処理できる。

第1段階

一つの業務を自動化する

こんな方の段階です

AIに指示すれば作業はできる。でも毎回、自分が指示している。

学ぶこと

  • ブラウザの自動操作
  • API・CSVによるデータ取得
  • 定期実行(決まった時刻に勝手に動く仕組み)
  • メール・Slack・LINEへの通知
  • エラー処理とログ
  • .envによる認証情報の管理
  • 利用規約やアクセス頻度への配慮

演習課題

毎日行っている定型業務を一つ選び、自動で実行させる。

✓
卒業条件

人が毎回操作しなくても動く業務処理が1本あり、失敗したときに気づける。

補足:「動いた」だけでは卒業にしません。エラーが起きても誰も気づかない自動化は、自動化ではなく時限爆弾だからです。

第2段階

データを貯めて使う

こんな方の段階です

自動でデータは取れるようになった。でも取りっぱなしで、貯まっていない。

学ぶこと

  • MySQLの基本
  • テーブル設計
  • 元データと加工データの分離
  • 重複防止と履歴保存
  • 複数システム(楽天・Amazon・自社店舗など)のデータ統合
  • 集計画面や業務アプリの作成
  • AIによるデータ分析

演習課題

第1段階で取得したデータをデータベースへ継続保存し、推移を確認できる画面を作る。

✓
卒業条件

自社のデータベースにデータが継続して蓄積され、そのデータを使って実際の判断または業務改善を1回行った。

補足:「グラフが出た」だけでは卒業にしません。実務で使ったことを条件にします。

第3段階

AI担当者を作る

こんな方の段階です

自動化は動いている。次は、状況を見て判断する仕事をAIに任せたい。

学ぶこと

  • 担当業務と責任範囲の決め方
  • 目的とKPI
  • 判断基準の言語化
  • 参照させるデータ
  • 実行を許可する操作と、禁止事項
  • 人間へ確認する条件
  • 作業報告の形式

演習課題

自社の一業務に、AI担当者を1体配属する。

✓
卒業条件

明確な担当業務を持つAIが、決められた範囲内で仕事を行い、必要な場合だけ人間へ確認できる。

第4段階

AI担当者を育てる

こんな方の段階です

AI担当者は作った。でも結局、出てきたものを毎回全部自分で確認している。

学ぶこと

  • 作業記録の取り方
  • 失敗事例の蓄積
  • ナレッジの更新(学んだことを次の仕事に引き継がせる)
  • 定期評価と判断精度の改善
  • プロンプトと知識ファイルの分離
  • バージョン管理
  • 権限の段階的な拡大

演習課題

AI担当者の仕事を一定期間記録し、失敗や人間の修正をルール・知識へ反映する。

✓
卒業条件

同じ種類の指摘や修正が減り、人間の確認時間が実際に短くなった。

補足:この段階を飛ばすと、「エージェントをたくさん作ったけれど、結局全部自分で確認している」という状態になります。作ることより、育てることの方が難しく、そして重要です。

第5段階

AIを組織化する

こんな方の段階です

複数のAI担当者がいる。次は、担当者同士を連携させて業務を完結させたい。

学ぶこと

  • AI同士の役割分担
  • 依頼と報告のルール
  • 共通データベース・共通知識
  • 承認権限の設計
  • 意見が割れた場合の処理
  • 監査役の設置
  • 異常時の停止方法
  • 人間が介入する条件
  • 経営者の役割の再設計

演習課題

一つの業務フローを、複数のAI担当者で分担させる。

例: 在庫担当が欠品を予測する → 発注担当が数量を提案する → 経理担当が資金面を確認する → 監査役が根拠とリスクを確認する → 人間が最終承認する
✓
卒業条件

複数のAIが役割分担して一つの業務を完結し、人間は例外対応と承認を中心に行っている。

後半になるほど、これはプログラミング講座ではなくなります

6つの段階を並べると、性質が変わっていくことに気づくと思います。

第0〜第2段階は、技術です。

作る。動かす。貯める。

第3〜第4段階は、マネジメントです。

任せる。教える。評価する。

第5段階は、経営です。

分業する。権限を渡す。統制する。そして、人間の仕事を定義し直す。

一般的なAIの解説は、プロンプトの書き方やアプリ作成で終わります。このサイトがその先──AIを会社に配属し、育成し、組織として運営するところまでを扱うのは、筆者が自社で実際にそこまでやっているからです。うまくいった話だけでなく、失敗と作り直しの話も含めて、そのまま書いています。

自分がいまどの段階にいるかは、AIに自社のレベルを判定してもらう で分かります。どの段階からでも構いません。